薄明薄暮帳

うさぎの生態について書きます

雑文

人間と出会うということは、別れの数を増やすということだと思う。20余年も生きてなお、「一生友達だよ」なんて言葉を本気で信じられるはずもなくて、「あなただけを愛するよ」という言葉に無闇に寄りかかることも出来なくて。何度も苦い別れを経験した。こっぴどく嫌われて拒絶されたことも、耐えきれなくて酷い言葉をかけて逃げたことも、誤解を解くことが出来なくて近づけなくなってしまったことも、1回や2回じゃない。その度に新鮮に苦しんで痛みを負って、懲りずに人に近づき続ける私のことを、本気で馬鹿だと思っているのは、決して私だけではないだろうな。人を諦めるというのは、少なくとも私にとっては、生きることを諦めることと同じだ。親しい人の内面に触れて、新しい人と関わって、そうやって内臓を震わせないと、錆び付いてしまいそうで怖かった。それは、ただ別れることよりもずっと怖いことだった。今日もまた新しい人と出会った。今までよりほんの少しだけ歩幅が近づいた。今までよりほんの少しだけ理解した。いずれ来る別れから目を逸らしながら、また、小さく言葉を紡ぐ。次も一緒に行こうね。