薄明薄暮帳

うさぎの生態について書きます

2023-01-01から1年間の記事一覧

雑文

人間と出会うということは、別れの数を増やすということだと思う。20余年も生きてなお、「一生友達だよ」なんて言葉を本気で信じられるはずもなくて、「あなただけを愛するよ」という言葉に無闇に寄りかかることも出来なくて。何度も苦い別れを経験した。こ…

焼き魚

どうして私は言語化するのもはばかられるような醜くてどうしようもない感情を、覚えてしまうんだろうな。苦しいし、しんどいし、こんなの本当に嫌だけど、それだけ人が好きになれるのはいいことなのかもなとも思う。ああ、でも、執着の薄い人は羨ましいけど…

夏休み初日

あーあ、今日もまたやらかしてしまった。好きなゲームの展覧会のチケットを取った。取ったつもりだった。取れていないことに気が付かず、バカみたいに楽しみにして眠りについて、起きて、気づいて、落ち込んだ。どうして私はいつもこうなんだろうなんて考え…

遺薫

人に少しずつ私を覚えさせることを、私は呪いと呼んでいる。誰かにとっての私は、いつも笑顔で挨拶をする学生さんで、通りがけに小説を買いに来る女性で、絶え間なく喋る後輩で、腕の中で大人しく収まっている女の子で。今日も私は、コンテンポラリーで少女…

八十言の葉

言葉というのは常に不完全だ。どんなに語彙を尽くしても、表現を工夫しても、全く相違なく私の感情が貴方に伝わることは絶対無い。渦巻く感情をどうにかして体外に出そうと喘ぎながら文字を綴り、言葉を紡いだ結果、不完全な私がここに生まれる。私を始めと…

どうでも良い乾咳にまつわる備忘録

一週間ほど前に、インフルエンザA型と診断された。それはどうでも良いのだが、未だに乾咳が止まないので、乾咳について気づいたことを書いていく。 ・痰は絡んでいないのに、痰が絡んだような感覚と臭いが止まないので、食事やその他嗜好に差し障りがある ・…

あえかな東京

渋谷のスクランブルスクエアに登った。1月の東京はまあまあ寒くて、46階はまあまあ高くて、なかなかどうして非日常的で怖かった。そもそも高所恐怖症なので足の震えが止まらなかったというのもあるが、それはさておき。吹き荒ぶ冷風と戯れながら下界(という…

ラジオ

一人暮らしをきっかけにラジオを買ってもらった。多機能なようで使い勝手の悪い、癖のあるラジオだ。局を変えるのも面倒だから、基本的にFM8.00から動くことは無い。ラジオというのはいいものだ。聴覚情報で全てが完結するし、なにより聞いていても聞いてい…

トモダチコレクション

横浜の夜景の写真でよくコスモクロックの隣に写っているかまぼこ型のホテルは、横浜グランドインターコンチネンタルというらしい。横浜に住んでもう20年になるが、何度聞いても覚えられない。赤レンガ倉庫でスパイスの効いた少し高いお昼ご飯を食べて、ワー…

ビニール袋とクラゲ

両親が海好きだったため、幼少期はひっきりなしに海に連れていかれた。いつものように海に行き、いつものように浜辺を歩く。割れた貝殻や湿った流木の近くに、ビニール袋のようなものが落ちている。棒でつついたり、ぷにぷにと触ったり、姉と投げあって遊ん…

水族館

水族館はなんだかいい。水の中の生活は、私にとっては限りなく異世界に近い。私が彼らと同じ世界を体験しようと裸で飛び込んでも、10分も経たないうちに水を気道末梢まで吸引して窒息するのに、彼らはそこで生きている。幸福そうに、退屈そうに泳いでいる。…

キャッサバ

友人ととあるアルゼンチン料理屋に行った。前菜にキャッサバの揚げ物を頼んだ。芋が結構好きなので、少しだけテンションが上がった。辛めのハニーマスタードと絡めて食べた。ねっちりとした食感と意外性のある味付けはなかなか相性が良くて、美味しかった。…

冷蔵庫

隣で低く唸る冷蔵庫の中には、多分もう食べられないものもいくらか入っているし、そろそろ食べられなくなるものも入っている。想像するだけで自分の不誠実さを突きつけられているようで嫌な気持ちになる。私が冷蔵庫の中身を完全にコントロールするか、ある…

アイドル

大阪の小さなライブハウスで1人のアイドルに出会った時に、「彼女はアイドルだ」と思った。何を言っているのか分からないかもしれないが、私は確かにそう思った。足を小刻みに動かし、音に合わせて左右に揺れ、マイクを持ちながら口角を上げたり目を細めたり…