薄明薄暮帳

うさぎの生態について書きます

水族館

水族館はなんだかいい。水の中の生活は、私にとっては限りなく異世界に近い。私が彼らと同じ世界を体験しようと裸で飛び込んでも、10分も経たないうちに水を気道末梢まで吸引して窒息するのに、彼らはそこで生きている。幸福そうに、退屈そうに泳いでいる。無論、彼らがこちらの世界に踏み込もうとしても同様だ。無様に暴れて、そのうち黙る。悲しいかな、私たちはいつまでも相容れない。遺伝子がそれを許さない。私の墓場に彼らがいて、私は彼らの墓場にいる。60cmのアクリル樹脂越しに、私たちはお互いを認識する。コンサルタントが作ったクラゲ水槽も、魚を見る気がないカップルも、放流されて暴れ龍の如く駆け回る子供も、全部含めてなんだかいい。軽く生熟れた光と冷たさに包まれた空間は、世界から切り離されたような、しかし広い世界を小さくしたような感じがして面白い。